かっぱの書棚

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何度でも何度でも懲りずに、君を好きになるラブコメ。/橘ぱん

 

何度でも何度でも懲りずに、君を好きになるラブコメ。 (MF文庫J)

何度でも何度でも懲りずに、君を好きになるラブコメ。 (MF文庫J)

 

 お気に入り度:★★★★★

 

 

<感想>

魅力溢れる主人公が一番なんだから!!

 

 

 

 

 

 

 

この作品はなんといっても主人公の魅力でもっている。どこまでも真っ直ぐで自分の大好きなものに正直なコートが僕は大好きだ。たった一人の少女のために魔王を討ち果たす少年が好きな子のために頑張る姿は清々しいの一言。

 

物語は主人公・コートが魔王に打ち勝つところから始まる。魔王を倒したのだから姫様と付き合うことだって不可能ではない。思い上がった驕りからダメダメな告白をかましてしまい無事撃沈。

 

あまりのショックにコートは引きこもりとなってしまう。なんとその期間100年。勇者ともなれば引きずるスケールも壮大だ。何とか改心させようと躍起になる竜人・ミディア。その間ずっと家事をして支えてくれたエルフ・ラーラ。二人と過ごす平穏な堕落生活に終止符を打ったのは一人の少女だった。

 

その少女の名はリスナ。彼女と出逢った瞬間コートには電撃が走る。なぜなら大好きなライトノベル『アックスアート』に出てくるヒロインと瓜二つだからだ。そのあまりの感動に思わず勢いで求婚してしまうコート。そんなその場任せの告白がうまくいくはずもなくばっさりフラれてしまうコート。

 

彼女との物語はそこで終わるはずだった。けれど、不思議な縁もあり彼女とはその先にも付き合う機会があり、彼女と触れあうことで徐々に本来の自分を取り戻していく勇者のラブコメ。ぶっちゃけオススメです。

 

まず何よりもコートの魅力でこの作品は輝いている。たしかにニートだし、童貞こじらせているし、みっともなくてチキンとくれば誰もがダメ主人公の烙印を押すところだろう。だけど、コートは大事なものは見失わないというところに置いては他をよせつけない。

 

100年経ってもブレない確かな感情が物語が進むにつれて少しずつ顔を見せてくるんだ。そこが何よりも憎い。描かれていない過去にコートがどのような行動をどのような姿で示したのかが想像できるからこの作品は熱い。

 

ヒロインのリスナに向けて告げる良いセリフがある。それはともすればうすっぺらく映るかもしれないけど、コートの歩いてきた道、刻んできた歴史を自分の中で形作ることができればそのセリフは何倍も説得力を生み出す。

 

そしてそうやって生きてきたコートだからこそミディアもラーラも傍にいつづけるのだろう。不器用でヘタクソで仕方のない主人公だけど大事なものは見失わないコートを僕は最高に推せると思った。

 

またリスナという少女も非常にイイ女だ。第一印象で最悪だったコートに対しても二度目の絡みで正しく評価し直す真面目なところが良い。終盤のコートとのやり取りなんかもどこまでも二人らしくまとまっているのはリスナの魅力が後押ししているように思える。