かっぱの書棚

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弱キャラ友崎くん Lv.6/屋久ユウキ

 

弱キャラ友崎くん Lv.6 (ガガガ文庫)

弱キャラ友崎くん Lv.6 (ガガガ文庫)

 

 お気に入り度:★★★★★

 

 

<感想>

誠実と不誠実ってなんだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毎度のことながら弱キャラ友崎くんには驚かされます。巻を追うごとに面白さが増していくんですから。もちろん今回も大満足の出来!!

 

今巻はたまちゃんの問題も解決し、文化祭の準備の話が進み出すところから物語は始まります。文化祭って学生感が一番強いイベントなのかなっていつも思うのですが、文化祭実行委員に名乗りをあげた友崎。

 

そして日南が突きつけた次なるミッションは一週間という期間で「いったい誰と付き合うのか」という目標に答えを出すこと。クラスの中に着実に自分の居場所を見つけ始めた友崎が出す結論とは!!

 

僕が言いたいのはとうとう来てしまったなということ!

シリーズを追いかけてきた読者は、日南葵は、きっとずっと気づいていたことなんですよね。友崎がたしかに成長していることも、その成長が彼という存在の肯定に繋がるくらいには大きなものになっているってことも。

 

それは彼がリア充グループの中に違和感なく溶け込めていることが証明しているし、だからこそ今まで関わりを持とうとしなかった人と繋がることができて、その周囲のドラマに関与することができた。

 

そのひとつひとつで友崎が必ずしも最善の手を打てていたかというとそれは全肯定はできないけど彼なりの結果を出すことができた。だから周りは友崎を評価するし、友崎の居場所はたしかなものになっていく。

 

これが言わば5巻までのあらすじだと思うんです。ただ僕らが、彼らがそうやってどれだけ彼を認めても、友崎本人は頑なにそこから見て見ぬフリをしてきたんです。それは今巻も同じです。俺は弱キャラだって。人を選ぶ資格はないんだって。

 

でもそこの閉塞感というかモヤモヤを水沢が見事に晴らしてくれます。もうね、水沢大好き。あいつの一言一言が僕の中ではとりわけ響きます。でもこれだって友崎が自分で掴んだモノのひとつなんですよね。

 

ゲーマーで、ぼっちで、友人のいなかった友崎のことをしっかりと認めた上で付き合ってくれる存在。出来ないことが出来るようになって。不器用なりに貫くことができて。そういった友崎のカッコ悪いところもカッコイイところも分かってくれている存在。だからこそ水沢というキャラクターってまさしく友崎が頑張った証なんですよね。エモい。

 

あと、僕個人としては表紙に出ているみみみについても触れておきたいなと。いやもう僕はブレずに彼女のことがずっと好きです。器用で、ノリが良くて、だからこそ抱えてしまう悩みもあって。

 

そんなみみみにこの巻では少し変化が見られた。普段は見せない表情がチラリと見え隠れしたというか。あと挿絵とともにぶつけてくれたあの殺し文句。なんなんだあれは僕を殺す気か!!

 

2巻のやり取りから友崎との相棒感も強くてそういう面でも僕的にポイント高いです。一緒にいて違和感がないというか。うまくバランスがとれているというか。あと、ラーメン屋でのくだりも僕は好きです。

 

そして話は戻るけど、誠実と不誠実についてもすごく考えさせられた。友崎と水沢は対極の存在だ。一途を騙って最後まで答えを導かない男。一人の女に答えは出しながらも行動が伴わない男。

 

きっと正解なんてないのだろうけど、答えを出さないことがイコール誠実ではない。弱キャラから確かな成長を遂げる友崎に今後求められるのは進化だ。弱キャラからの脱却だ。

 

文化祭に向けて物語はどんどん動き出す。友崎がこの絶妙な引きからどのような結論を導き出すのか続巻からも目が離せないなと強く思った。