弱キャラ友崎くん Lv.5／屋久ユウキ
お気に入り度：★★★★★
＜感想＞
変わるもの、変わらないもの、どちらもあるから美しい！！
5巻にしてまだ面白くなるかと。思わず涙してしまった友崎くんシリーズも気づけば5巻。早いものですね。今回も前回に負けないくらい熱量たっぷりの一冊になっていて大満足の出来！
一番目につくのは友崎くんの確かな成長。今までは日南を師として仰いで言われたことをやることしかできなかった友崎くんが前巻から積極的に人と関わるようになってるんですね。今までだったらできなかったことだって出来るようになったことがしっかりと描かれている。
だからたまちゃんの師匠として人との向き合い方を教える側に立っても何の違和感もないところに胸がじんわり温かくなる。ここまできたんだなぁと。それに水沢も触れていましたが言ってることがなかなか的を射ていてしっかり者の印象すら抱かせる。
それにしても紺野エリカは思っていたよりもずっと策士でしたね。ただ怖いだけじゃなく人の動かし方や空気のコントロールに長けているからこそあんな性格でもスクールカーストの上位として君臨しつづけられるというのは現実味があっていいなあとも思います。
そんなことよりもこの巻はたまちゃんですよ！ もうたまちゃんに尽きます！！
なんなのこの子すごく可愛くなっていませんかと僕は思ったんです。変わるつもりはない折れない心を持っているのにみみみを傷つけないために変わろうと決意してからのたまちゃんの真っ直ぐなところにはどんどん惹かれていきます。
友崎のことを信用して、課題を少しずつクリアしていって、ひと皮もふた皮も剥けていくたまちゃんのことを魅力的に思うのはもうこれは仕方ないことでしょう。
ただ僕がメチャクチャいいなって思わず涙してしまったのは後半のたまちゃんのあの挿し絵です。もうあんなん泣くでしょと。たまちゃんは別に変りたかったわけじゃなかった。日南だって変わってほしくないと言った。それでもたまちゃんはみみみのために変わることを決意するんです。
武器だって手に入れました。周りとうまくやるためのとっておきの方法。それはたまちゃんが自分の信念を折ってでも周囲と迎合するための技でした。なのにその必殺技は周囲と折り合いをつけるためではなく、あくまでこれまでの自分らしさを貫くために使われたあのシーン。もうめちゃくちゃ最高です。星100個くらいあげたいです。それくらいに満足度の高いシーンとなっていました。
あとは特筆するなら日南ですよね。僕らが思っていたよりもずっと強敵で、底知れなくて、闇が深いことが今回を通して伝わってきました。今回の一件でどうしてあそこまで頑なに意地を張り続けたのか。そこは今後の物語のキーにもなってくるでしょうし、非常に気になってきます。
水沢の問いかけに友崎がどう答えたのかも気になる！
これからの展開に期待を寄せずにはいられない最高の一冊だったと思います。
そして僕はやっぱりみみみが大好きなんだなぁということを再認識しました。菊池さんもかわいいけどね。
