かっぱの書棚

ライトノベルの感想などを書きます

タイムシフト 君と見た海、君がいた空/午後12時の男

 

タイムシフト 君と見た海、君がいた空 (ダッシュエックス文庫)
 

 お気に入り度:☆☆★★★

 

 

<感想>

壊れゆく世界で恋した少年少女の恋の物語

 

真実が明かされていって──

 

 

商品のあらすじを読んだときに真っ先に連想したのはSFと純愛を織り交ぜたひと夏の切なくも温かいラブストーリーでした。季節は夏でSFチックなタイトルでボーイミーツガールで表紙には儚げな少女のイラスト、きっとラノベ読みならこんな感じだろうと似たような想像をするであろう物語のあらすじ。

 

間違ってなかった。間違ってはなかったんです。ただその気持ちで読んでみるとするっと通り越してしまうような感覚を味わう作品だと僕は感じました。

 

というのもカムナギという病に少年少女が冒される時点で世界はとうに壊れ始めてるんですね。どこか知らない場所に行ったり、他人の記憶を共有できたり、普通なら巻き込まれることのない非日常を日常だと認識して暮らす少年少女がいる。この時点でもう狂っている。

 

ただ上手いと思ったのは狂っているのは世界だけなんだとミスリードを誘っているところ。読んでいると徐々に見えてきます。狂った世界で生きる人が狂わないでいられるはずがないと。少しずつ少年少女の心の綻びであったり噛み合わなさを見つけたときのぞっとした感じは肌に合う人は合うのかなあ、と思います。

 

ちなみに僕はもっとシンプルなSFボーイミーツガールの方が好きですw