かっぱの書棚

ライトノベルの感想などを書きます

僕はリア充絶対爆発させるマン/浅岡旭

 

僕はリア充絶対爆発させるマン (ファンタジア文庫)

僕はリア充絶対爆発させるマン (ファンタジア文庫)

 

 お気に入り度:☆★★★★

 

 

 

<感想>

このバカバカしさ、癖になる!!

 

懐かしいなと読んでいて思いました。というのもライトノベルで一時期ハーレム物が流行っていたときって己らはアホかと思うくらいにおばかなライトノベルに溢れていました。そのノリと勢いで牽引する作風を快く思わない人も沢山いるのだなぁと当時の僕はなんとなしに思っていたのですが、そういったハーレム作品が途端にその姿を隠すようになって気づきました。

 

あれっ、ハーレム作品もーちょっと読みたくね?

 

それはべつに主人公がモテモテになるというベッタベタな展開が欲しいわけではなく、とんでもなくおばかで救いようのないくらいアホらしい物語が最近は足りないのではないだろうかというそんな気持ちにも似た感情なのかもしれません。

 

本作はそんなどこか今のラノベ業界に足りないとも言える”おばか”加減では間違いなく最高の作品だったと言えます。飛び交うくだらない言葉遊び(褒め言葉)に、ポップでキャッチ―なキャラクターが、勢いとノリだけでぐいぐい物語を進めていくこの感じ、嫌いじゃないです。

 

また、リア充と非リアの構図の物語は近頃のトレンドになりつつありますが、そこにライトな学園異能バトルを組み合わせてきたのはある種、大胆で新鮮な組み合わせだと言えますし、それが物語のエンジンになっているようにも感じました。

 

テーマとしても『薄っぺらい恋をしたって意味がない本物の恋をしようぜ』ってところにはなると思うんですが、これは設定が良いなあと思いました。恋がしたいけど恋のできない地区の学校に入学することになってしまった主人公。そうして居つくことになった場所では恋そのものに対してメッタ刺しにしていて、僕は恋はしたいんだけどな~と思いながらもリア充サイドの現状を目にすることによって自分がしたい恋はこれじゃないと自分の生き方を見つけていく流れは僕ら読者と同時に進行するため共感を得やすいんですね。そして物語の締めには軽い恋をしてる人だけではないというある種の救いも用意してオトすのはとても気持ちがよいものですね、やっぱり。

 

あと個性的なキャラクターもいいです。徹底的に恋愛を嫌うツンデレ系の相棒、素っ裸のエロゲーマー、リア充側なのに非リアの主人公のことが気になる性徒会長、濃いメンツが揃っていてラブ方面でも今後の展開がどうなるのか楽しみです。

 

『性遺物』を集めて偽りの愛を崩すという物語のこれからの指標もきちんと示されたので続刊も出しやすいのではないでしょうか。こういったおばかな小説、やっぱり僕は好きなんだなぁと再確認したのでした。