かっぱの書棚

ライトノベルの感想などを書きます

リア充にもオタクにもなれない俺の青春/弘前龍

 

リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫)

リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫)

 

 お気に入り度:☆☆★★★

 

 

 

<感想>

みんな平等に面倒くさい!!

 

一奈々子(にのまえ・ななこ)。オタク女子。3ヶ月ごとに「嫁」が変わるタイプの絵師。おどおど小動物系の美少女。口には出さないけど、俺は密かに≪イナゴさん≫と呼んでいる。上井恵久(かみい・めぐ)。リア充女子。カラオケでタンバリン叩いてた人。いつもいい匂いがするクール系の美少女。こっちも口には出さないけど、俺は密かに≪ウェーイさん≫と呼んでいる。クラスこそ一緒だけど、イナゴさんも、ウェーイさんも、俺とは別世界の住人だ。リア充でもオタクでもない俺は、きっと深いかかわりを持つことなく終わるんだろう。……そう思っていた。あの夜、あの公園で、あんな秘密を知ってしまうまでは。2017年、オタクがメジャーになりすぎた時代。何にもなれない「俺」たちに贈る、新・青春ラノベ開幕!

 

リア充とオタク。それは相容れないふたつの人種。そこに実在するものに寄生して生きるリア充に対して、創り物に寄生して生きるオタク。まるで正反対であるのに双方ともに面倒くさい存在として描かれていたのが新鮮かなと。

 

リア充はいいぞ!

オタクはいいぞ!

 

そう0か100かみたいな極端な二者択一じゃなくてどっちも楽しめる主人公くらいのスタンスがやっぱり生きていて楽しいんだと思います。好きな物を好きだと言える自分が好きなのか、好きな物を好きでいる自分が好きなのかどっちか分からないとはよくいった話です。

 

ただお話よりも僕が気になったのはキャラクター面です。読んでいてキャラクター性がすこし薄味だと感じました。構図としては主人公を挟む形でトライアングルを形成するものだとは思うのですがイナゴさんよりウェーイさんの方が素敵。でもウェーイさんはもう少しキャラ付けはしてほしいかなと思ったり個人的にもう一押し欲しかったなあというのが正直なところかもしれません。

 

けれど、スクールカースト物に触れる第一作としてはとてもオススメできる作品なのかなと思います。