かっぱの書棚

ライトノベルの感想などを書きます

俺たちは空気が読めない 2 孤独<ボッチ>な彼女の嫁ぎ方

 

 評価:☆★★★★

 

 空気の読めない少年少女の大暴走ラブコメディ、第二弾!

 

<感想>

読まなくていい空気は読まなくたっていいじゃない!!

 

いやでも流石にこの子たちはもう少し読まなきゃいけないなって思うこともあるんですけどね!

 

物語の舞台となるのは私立銀鉢高校の学園祭。相変わらず空気の読めない主人公・小日向刀彦とその仲間ボランティア部は莉子を助けたことにより、部内の絆を確かなものとしていた。そんな折、次の依頼として舞い込んだ依頼は担任教師の結婚式を学園祭の中で行うことだった。部外者も巻き込んで始まる学園祭はドタバタと思いもよらぬ方向へ進んでいく。しかし、楽しい思い出もそこそこに物語は一転する。聖良にお見合いの話が来たのだ。聖良の幸せを考えるならどうすればいいのだろう。迷いに迷った刀彦が最後に取った行動は──!?

 

「空気を読まない」ことがひとつの物語の答えを導く構成がたまらなく気持ちが良い。KYだとか空気が読めないといった他者への印象は言葉以上に人のことを揶揄した言葉として独り歩きをしたイメージが僕にはあります。けれど、空気が読めないって読めないだけなんですよね。周りに転がってる石ころを手当たり次第に拾うのではなく、ひとつの石ころをキラキラするまで磨くような感じ。しっかりと自分の中で考えて、考えて、考え抜いた先に見つけた答えを持っているから他人のふんわりした言葉に惑わされない。それは人としてブレない魅力なんだよなあと。今回はそんな風に思い直すようなお話。

 

もちろん物語のクライマックスも良かったんですけど、過程で描かれる莉子がストップをかけなければ好きなようにやりたい放題かますボランティア部の空気はザ・学生のノリという香りを感じて最高だなと。「空気」という題材を扱うからこそ、こういった細やかな空気作りも意識されているのかなと。

 

あとキャラクター的には僕はシェリーが好きなんですよね、実は。バタバタとしたラブコメディというとMF文庫さんのイメージが強いのですが、そのバタバタと忙しない雰囲気をやんわりと包み込んで落ち着かせてくれるような、まったりとしたシェリーの可愛さが作品の空気をうまくコントロールできているなと作中を通しても感じることが多いです。また、今回は人付き合いをする上で大切な要素についても他でもないシェリーという少女を軸に掘り下げられたのは僕的にかなりポイントが高い!

 

まあ、二巻にしてもうお前ら付き合っちゃえよと沸々と親心のようなものが湧きあがっているのですが、だからこそあの二人は空気が読めないんでしょうね! ヒロイン一本釣り状態ではある物語ですが、刀彦と聖良だけでなくボランティア部みんな良いキャラをしているので続刊は読みたいなあと思う所存であります。