かっぱの書棚

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くずクマさんとハチミツJK/鳥川さいか

 

くずクマさんとハチミツJK (MF文庫J)

くずクマさんとハチミツJK (MF文庫J)

 

 評価:☆★★★★

 

MF文庫

 

<感想>

すっきりしたラブコメディで読みやすい!

 

クマとハチミツで恋愛というエッジの利いたネタを使いつつも根底にあるのは驚くほどシンプルなラブコメディ。クズな主人公も難儀なヒロインも最高だ。

 

ハチミツの匂いを嗅ぐとクマになってしまう少年・阿部久真は自分の特性を隠して人の世で生きていた。この度、高校生となった久真は教室から漂う甘い香りに気を許してクマとなってしまう。匂いの源は一人の少女だった。少女は汗をかくと身体からハチミツの香りがするようになる体質を持っていたからだ。二人はお互いの利害の一致により協力関係を結ぶのだが──

 

ハチミツの臭いを嗅ぐとクマになる少年。汗をかくとハチミツの臭いがする少女。このぶっとんだ感じでラブコメというのは実にMF文庫らしくていいと思うんですよ! 一昔前、ハーレム作品が乱発しすぎてどうのこうの言われていた時代のMF文庫のラブコメが僕は大好きです!

 

と、まあ話は脱線してしまいましたが、中身は王道のラブコメなんですね。お互い手助けをすることでお互いの秘密を守ることができる関係性。二人だけの秘密って響きいいですよね。ただそこで絡んでくる妹の存在もまたいいんですよね。同じ問題を抱えたときにちがう選択をした姉妹。逃げた姉と立ち向かった妹。どちらが正しいとかどちらが間違ってるって話ではないとは思うんですけどね。

 

キャラクター的には姉派です。ハチミツとメイプルシロップだと後者の方が好きかもしれませんが。問題に直面したとき誰よりも優しいから自分を押し殺してまで秘密を隠したんですよね。妹のように器用には立ち回れないことを知っていたから。素直ではないけれど、その優しさが久真を助ける要素として機能してるのはいいなあと思いました。