かっぱの書棚

ライトノベルの感想などを書きます

妹=絶滅したのです/八奈川景晶

 

妹=絶滅したのです (ファンタジア文庫)

妹=絶滅したのです (ファンタジア文庫)

 

 評価:☆☆★★★

 

『ヘルカム!』の八奈川景晶さんの新シリーズ!

 

<感想>

色んな妹の物語!!

 

舞台は兄妹が生まれなくなった世界。

 

もう右を見ても左を見ても妹無双の物語でした! 世界中を探しても兄貴と呼べるのは勇巳だけなので、各地から集まったお兄ちゃんに甘えたい女子は勇巳にあの手この手で甘えるんですね。もうその個性豊かな少女たちから甘えられるイベントの数々はうらやまけしからんの応酬です! ちょっとお前そこを代われ!

 

ただこれだけヒロインが出ても妹として一番かわいいのは実妹である 伊織なところは皮肉だなあと感じました。みんなヒロインとしては充分にとがった部分を持っていて魅力的なんだけど『妹』キャラは天性のものであると思っているので二番煎じでは立ち向かえない! 伊織こそ最強だと思う気持ちがありました!

 

また、妹キャラが好きかどうかがこの作品にはかかってると思います。というのも、世間の妹作品って妹プッシュを銘打っていても、周りにべつの要素を孕んだキャラクターが配置されるじゃないですか。ただ、この作品に限っては、兄を求めてという理由だけで勇巳の元にヒロインが集合するというバカラノベっぽさは好印象なのですが、基本的に全員が妹キャラとして動かなければいけないという制約がかかる分、もっとこう動いてくれた方がいいのになあとキャラクターに対して思ったりもするところもあって、読んでいて妹は好きだけどこう何とも素直に物語に入り込めない設定だなあと感じる場面がありました。胸焼けというか。塩梅ってすごく難しいですね。

 

魅力溢れたキャラはやっぱり実妹の伊織でしょう! わずか八才で兄貴が姉を求めていると見抜いた眼光もさながらお姉ちゃんになってあげるねと行動に移せるところにもすでに女としての器のでかさが現れてます! なんて慈悲深い女神なんだ! と、今はどこか微笑ましい印象を抱きますが、これが数年するととんでもない良い女になりますよ。僕が保証します!(おまえ誰だよ)

 

さてさて、妹キャラとしての要素も大事ですが、テンプレートではなくもう少しキャラ別による差別化というかその子でなければいけない個性が出てき方が作品にぐっと力がつくような気もするので今後はその辺りに期待したいところです。