Farewell,ours~夏の僕らは瞬きもできない場所へ~/都乃河勇斗
Farewell,ours ~夏の僕らは瞬きもできない場所へ~ (ファミ通文庫)
- 作者: 都乃河勇人,樋上いたる
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2016/08/30
- メディア: 文庫
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評価:★★★★☆
<感想>
見事にKey作品だった!
取り扱っているテーマも出てくるキャラクターも所々に過去のKey作品の香りのする青春モノ。夢と現実であったり自己と世界の関係性のようなものを描く辺りはニヤリとさせられますね。
やはりその中でも特に殿の出世作でもある「リトルバスターズ!」のネタが意識的に仕込まれていたように感じます。遼平に真人を感じてぐっときたのはきっと僕だけじゃないはず……!
ただひとつだけ難点をあげるのであれば文体が非常に読みづらかった。
というのも、ゲームのライター上がりの方の一作目にはよくあることではあるのですが、ノベルゲームの文脈をそのまま小説にもってこられる形になると途端に読むのに疲れたりします。僕だけでしょうか。
その面が遺憾なく発揮されていたようにも感じて僕は読み初めはちょっと苦しかったのですが、物語が進むにつれて我が家に帰ってきたような安心感を覚えました。
というのも僕が今までプレイしてきたKey作品の空気があちこちに散らばっているからなんですね。
そしてラストには驚かされました。
中盤くらいで世界構造のギミック自体にはぴんとは来てたんです。
ただやられたと思ったのは、現実世界の登場人物たちの年齢はとっても幼いというところ。
そうなんです。本編でもただただ引っかかっていたのですが登場人物たちの送る生活がとても幼かったり、背伸びを感じさせるシーンが数多く用意されてるんです。見事な伏線に読後感はとてもすっきりしました。