かっぱの書棚

ライトノベルの感想などを書きます

魔法使いと僕/十文字青

 

魔法使いと僕1 (オーバーラップ文庫)

魔法使いと僕1 (オーバーラップ文庫)

 

 評価:★★★★☆

 

 

<ネタバレ感想>

エルシーとカルルの関係性が美しい!

 

物語はまだプロローグだ。

始まったばかりで、序章に過ぎず、盛り上がりに至っては足りなかったとさえ思う。

 

それでも僕の心が続きの物語を求めるのは、ひとえに世界観と二人のキャラを照らし合わせたときに感じた”生きてる”感覚に他ならないと思う。

 

本作のテーマは「生きるとは何か」だ。

生きていくために人は色んなものを犠牲にしなくてはいけない。

食べるために生き物を殺し、のし上がるためには同じ人をも殺さなくてはいけない。

 

本作の世界でも亜人や魔法使いといった人ならざる者は侮蔑され、排斥されかねない過酷な世の戦況が物語の背景として描かれている。

 

カルルだって同じことを思っていた。

 

 

 

 

そんな世界なのに、だ。

エルシーは人を殺してはいけないのだと言う。

みんな仲良くして、丸く収める方法を探すべきなのだと。

まるっきりの綺麗事だ。

 

けれど、ラストシーンでカルルは生きることを願う。

 

これって最高に美しい流れだな、と。

まだ物語は始まったばかりだ。生きるという永遠の命題に二人がどんな答えを導き出すのか、今からすごく楽しみだ。