かっぱの書棚

ライトノベルの感想などを書きます

今日から俺はロリのヒモ!/暁雪

 

今日から俺はロリのヒモ! (MF文庫J)

今日から俺はロリのヒモ! (MF文庫J)

 

 評価:★★★★☆

単巻ラブコメの申し子、暁雪さんの最新作はロリもの!?

 

 

<感想>

ものっっすごく挑戦的なストーリーだった!

というのも、

 

主人公のハルが史上最高にクズだった!

 

ロリのヒモ。

切り出すとなんと攻撃力の高い言葉か!

 

けれどね、ロリのヒモとか言ってもいつものライトノベルのオーバーな言い回しでしょう? 僕にもそう考えている時期がありました。

 

だがしかし、蓋を開けてみれば出てきた主人公は小学五年生の女の子にアニメのブルーレイをたかり、フィギュアを調達させ、ゲームまで買わせて、あまつさえには人のお金でソシャゲのお目当てのSSRが出るまで課金をしちゃうぐうたら生活を送るクズっぷり!

 

ひどい主人公はこれまでもいましたし指折り数えられますが、かつてここまで振り切った主人公がいたでしょうか!

 

というか、この時点でもうヘイトは爆発寸前なのに最期に極め付けとしてマンガも描かないとはいったい全体どういうことなんだ!!

 

お前はバカヤロウかと! お前はクソヤロウかと!

お前なんてヒモ以下だよと!

 

正真正銘のロリのヒモ。

これはまた意欲的な主人公が生まれたなあと驚かされました。

けれど真に驚くべきはハルをまるでヒモにさせるがために登場したようにも思わされるロリっ子ヒロイン、藤花のあまりの女神っぷりなのかもしれません。

 

いつだってハルが正しくて、ハルの口にしたことは全て受け入れてしまう。

盲信にも似た信頼が少しばかり歪な少女の像を浮かび上がらせているようにも感じました。

 

ここまで彼女がハルにすがりつく理由は何なんでしょう。ただのファンだとは考えにくい。彼女が一人で毎日大金を稼いで生活を送っていることにも関係があるのかもしれませんね。

 

いやあ、それにしても外野からはクズだと罵られても、藤花を騙すんじゃないと詰られても、ヘラヘラとお調子者の姿勢を崩さなかったハルがラストにほんの少しですが漫画を描く流れは主人公らしくてよかったなあって素直に思います。

 

「理由はふたつある。ひとつは、藤花が俺のファンだから。ファンの要望にはできるだけ応えたい。そしてもうひとつは、単純に俺も藤花のことが好きだからだ」

 

藤花のヒモをやめろと言い寄られたときにハルが返した台詞です。

案外この言葉がこの作品の中核を担っているようにも感じました。

 

ハルはべつにどうしても漫画家になりたいわけではないんですよね。

絵を描けるという武器を持っていたのでなんとなく目指し始めたってだけで。

 

だから、きっとこの出会いは二人にとって良いことだったんだと思います。

計算じゃない。飾りじゃない。あるがままの自分の描きたいもので救われる人がいる。なんだかちょっぴり良い話みたいなノリで締まっているのが気に食わないですが(笑)、読後感はすっきりしていました。

 

 

というか、藤花ちゃん。

どこまでが素なんですかね?(小声)