かっぱの書棚

ライトノベルの感想などを書きます

終奏のリフレイン/物草純平

 

終奏のリフレイン (電撃文庫)

終奏のリフレイン (電撃文庫)

 

 評価:☆★★★★

 

 

 

<感想>

主人公とヒロインの対比が物語と上手くマッチしている!!

 

めちゃくちゃ面白かった。

 

何よりもまず世界観に目を惹くものがありました。ロボット技術が発展した世界。ロボット技工士に憧れる少年少女が集められた学園。世界を股に掛ける企業や組織の絡み合った思惑。聞くだけでワクワクする単語が並べられており、それが見事に噛み合ってひとつのお話として成立する様は読んでいても胸が熱くなります。

 

展開も良いです。二人の出会いを丁寧に描き出して、時に切なく時に賑やかに少しずつ二人が近づいていく様子はほっこりします。ロボットのように扱ってほしいリフレインと人のように扱いたいタスクの衝突はありますが、ここの着地点が最高に気持ち良いです。

物語の肝となるバトルシーンでもロボットという人より力のある機械で戦うだけの物語とするのではなく、彼女が作られたモノであることを生かした知能戦も混ぜ込みながら設定をうまく機能させて物語を盛り上げることができていた点も見所のひとつかもしれません。

 

キャラクター面でもサブキャラ含めてうまくキャラが立っていたかなと思います。リフレインを求める外側のキャラクターの介入なども違和感なく進みましたし、タスクの下宿先のじーちゃんなどあまり登場回数の多くないキャラにおいても物語を作る上で良い役どころを担っていたのかなと読み終わった今では思います。

その中でも一番際立っていたのはやはりタスクとリフレインの関係性かなあ、と。人よりも人らしい人形とあまりにも人らしくない人間。そんな正反対の二人が足りないところを補い合い、その気持ちを伝え合って、一緒に歩く姿というのは想像するだけでもぐっとこないでしょうか。

 

物語はまだまだ始まったばかり。二人のお話はここからもっと舞台を大きくすることでしょう。いつか終わりの日は来る。その日まで二人はどのような歴史を作っていくのか。今からとてもワクワクしています。