かっぱの書棚

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佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1/九曜

 

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫)

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫)

 

 評価:☆★★★★

 

 

 

<感想>

童貞の理想や夢を体現したような設定に頭を抱えたくなる!

 

男の子は誰だって一度は同じ学校に通う美少女とルームシェアができたなら死んだっていいとか頭の緩いことを考えちゃう時期があると思います。しかもその子に好かれたりして、友人なんかにも冷かされたりするなんて妄想乙以外の何物でもない設定の数々。その多くが余すことなく詰め込まれた作品となっていました。

 

物語は主人公である

 

 

作者さんもあとがきで開き直っているようにこの物語はフィクションです。ファンタジーです。現実じゃあここまで都合の良いイベントが次々と巻き起こるだなんてことないです。ただ良いじゃないか作り物なんだから!

 

この作品の一番の魅力って「ありそうなお話」を「ありそうもない設定」で織りなす絶妙なバランス感覚にあると感じました。物語自体は男女の恋愛模様を中心に描いた青春ストーリーで大どんでん返しがあるわけでもなく有り触れた脚色になってるんですね。ただその物語を取り巻く舞台設定からキャラづけやらが正反対にメチャクチャ都合の良い要素で成立している。まあでもここまで明け透けにやられると降参ですよね!

 

不動産屋の手違いによって始まった二人の同居生活でしたが、二人のやり取りも初々しくて良いんですよね。意識しないようにする主人公と意識させてやろうと企む佐伯さんコンビの温度感も印象が良くて読んでいてほっとするイメージ。このシーンは二人がイチャついてるだけでなく宝龍さんとの対比としてもうまく作用しているのが良いです。恋人と同居人。同じ近すぎた距離から更に一歩踏み込むことができた理由として協調できていたんじゃないかなぁと思います。

 

ていうか、あざとい年下同居人とクールな元カノに挟まれるようにして主人公が振り回される展開、大好物です! 僕もそんな学生生活が送りたかった!

 

さてさて、続刊ですがどうやらすでに二巻の発売は決まってるそうで今後の展開に期待が高まるところ。一巻を読む限りは佐伯さんの一人勝ちな物語にはなっていますが、僕個人としては元カノである宝龍さんの逆襲も見てみたいわけで。どういう方向で物語が進むかはわかりませんが何はともあれ次巻が楽しみな一作。