かっぱの書棚

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ゼロの使い魔 22/ヤマグチノボル

 

 評価:★★★★★

 

ゼロ使、待望の最終巻!

 

<感想>

誰もが待ち望んだ至上のフィナーレ!!

 

読み終わったときの余韻が途轍もなかった。もう完結することはないと思っていました。かっこいい才人もかわいいルイズも見ることができなくて、二人の結末を見届けることはないのだと。だからシリーズが再開すると聞いたときはメチャクチャ嬉しかったんです。そんなファンたちの願いを一身に背負ったラスト2巻のゼロの使い魔でしたが、その期待を裏切らない最高の出来だったと思います!

 

物語は才人たちがハルケギニアを滅亡の危機から救うために『聖地』に辿り着くところから始まる。逃れられない風石の暴走を回避する方法はルイズの唱える『生命』を使い、聖地を我が物にすることらしかった。しかし、教皇の示したゲートの先に映るのは才人の故郷である地球の姿だった。つまりハルケギニアを救うためには地球を奪還しなければいけないのだ。才人たちに残された時間はわずかだった。無い時間の中で最善策を探す最中、教皇の説得に行ったルイズは衝撃の事実を聞かされることとなる。ゼロの魔法使いとその使い魔の物語、ここに完結!

 

控えめに言って最高の最高だった!! もうこれを読むために生きていたと言っても過言じゃない! ここにはあの日、もう見ることはできないのだと落胆して、きっとこんなラストになるだろうと思い描いた光景が広がっていました! もう一回言わせてくれ! 最高だった!!

 

才人は誰よりもルイズのことを考えて、ルイズは誰よりも才人のことを考えて、いつだってそうなんですよね。出会ったころはあんなに犬猿の仲だったというのにいつからか二人は常にお互いのことを考えるようになりました。今回だってそう。お互いがお互いを守りたいが故に最後の最後まで手を繋ぐことができなかった。

 

この物語が集大成だなんてことは今更言いださなくてもみんなわかってることなんですけど、二人を繋げるための要素がこれまで積み上げてきたものだった流れが最高に熱い! というか、水精霊騎士団の連中とのやり取りだけでぐっと来てしまって僕はずっとやられていました。ギーシュのセリフなんかは特に込み上げる感情がありますよね。最初にぶつかったときから徐々に気を許していくようになって、その過程で育んだ感情が全て詰まっているような気にさせられて。

 

デルフリンガーにも大変泣かされてしまいました。これまでの軌跡と才人との絆には当然泣かされるんですが散り際が最高に美しい。6000年前は命を奪った剣なのに、まったく同じ構図でまったく同じ関係性の人の胸に刺さりながらも迎える結末は正反対だという魅せ方には興奮しました。

 

また、ラストが素晴らしかったという話がしたいです。きっと物語としての美しさを取るならルイズは才人についていかないべきだったんですよね。それが最初からの約束で、みんなで見送るからこそ、ここで挙げた結婚式に箔がつくというもの。けれど、それがめちゃくちゃゼロ使らしいって思いませんか? 物語の中に生きるキャラクターは作られたモノかもしれませんが、その世界にちゃんと生きてるんです。形が良いとか締りが良いという理由で左右されるのはなんか違うなと。ここに生きたキャラクターがいて。それに他でもないヤマグチノボル先生が息を吹き込んで。後続の作家さんが受け継いで。そういう巡り巡った想いの欠片がこのラストを形作ったんだと考えると感無量です。