かっぱの書棚

ライトノベルの感想などを書きます

友人キャラは大変ですか?/伊達康

 

友人キャラは大変ですか? (ガガガ文庫)

友人キャラは大変ですか? (ガガガ文庫)

 

評価:☆★★★★

ジャンル:ラブコメ

 

伊達康さんの新シリーズはガガガですか!

 

 

<感想>

軽妙でテンポの良い文章が心地よい!

 

ほい、新年一発目。

伊達康さんの新作ということで手に取ってみたのですが、これは面白い!

 

物語自体は王道に進行されるのですが、視点が主人公──の友人にスポットを当てて展開されるので読み口に新鮮さが見られて一味違う楽しみ方ができますね。

 

また、小気味良い地の文がすらすらと先へと読ませてくれるのも作品の大きな魅力となっているかも!

 

物語は、幼稚園のお遊戯会で主役を立てる脇役を演じたことが快感となって以降、脇役として主役を輝かせることが大好きになった少年・小林一郎が高校に入学してから出会った主人公っぽい少年・火乃森龍牙の一番の友人キャラとして日々奮闘する流れとなっている。

 

この火乃森龍牙くんがすごい!名前もさることながら、教室では孤高に佇み、自分とは関わらない方がいいと壁をつくっておきながら、学園のアイドルや大和撫子にハーフの美少女が放っておかないという主人公仕様。

 

しかも、この龍牙とかいう子まだまだ隠していることがあって、秘密裏に魔人と呼ばれる存在と戦っていたりするヒーローな一面も持ち合わせているんですよね。

 

もうこんなキングオブテンプレートのザ・主人公を地でいく龍牙を主人公スキーな一郎が見逃すわけもないですよね。入学早々にこいつの友人キャラになるんだと決め込む一郎の男らしさは色んな意味で憧れる。

 

前半では、そんな二人の微笑ましい掛け合いが繰り広げられる。クールな主人公龍牙とお茶らけスケベ担当の友人キャラとして接する一郎のコンビは相性ばっちりで、この辺りからも一郎の機転の良さがうかがえる。

 

このままトラブルがありながらも友人キャラとして龍牙を支えていくのかと思いきや、中盤で大きな秘密が明かされることになる。そこから一郎の築いてきた周囲との関係性が崩れていくことになって──。

 

魅力はとにかくテンポの良いコミカルな作風とそれを支える主人公の一郎ですかね。主人公のお約束、友人キャラクターのお約束、ヒロインのお約束。それぞれこう動いたらそれっぽいという方程式ってあります。そこに対して俺はこう動かなくてはいけないんだ、とか。ヒロインに対していやいやそこはああ動くべきでしょってダメ出しをしたりするメタなところもありつつ、徐々に思い通りにならないように物語が転んでいくところを見て何度も笑わされました。

 

びっくりラストに関しても次巻への引きと考えればプラスに働いていると思うので今後の展開に期待したいところでございます。

 

キャラクターだと好きなのはやっぱり主人公の一郎でしょう!物語にも登場人物にも流行り廃りはあると思うのですが、こういった主役を立たせるキャラクターって流行るんじゃないかなと個人的に踏んでたりします。他作品でもチラホラ見かけたりしますよね。あと、秘密が明かされてからの龍牙も完全に開き直っていて好きなんですよねえ。読んだ人はわかることでしょう!

 

続巻は出るでしょう。いや流石にあの引きで出なかったら困る!伊達さんの書く文章は相変わらずのキレで瑠璃ボケの頃から大好きな僕も大満足な一冊でした。次巻はよ。