クソゲーオンライン(仮) 「運営は全員逃げたけどなんの問題もないわ!」/つちせ八十八
クソゲー・オンライン(仮) 「運営は全員逃げたけどなんの問題もないわ!」【電子特典付き】<クソゲー・オンライン(仮)> (MF文庫J)
- 作者: つちせ八十八
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
- 発売日: 2016/07/24
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
評価:☆★★★★
<ネタバレ感想>
この世界はかつてないクソゲーだ!!
今のご時世やはりゲームものの作品は人気があるのか増えているなあと感じます。
その中でもとりわけネットゲームがフィーチャーされることが多いとは思いますが、その中でも類を見ないくらいにクソゲーでゲラゲラと笑いながら読みました。
舞台は仮想現実へのダイブ技術《ニューロ・コネクト》を用いた史上初のVRMMOであるソード&マジック・オンライン。脳波干渉を行うヘッドギアを身につけ、剣と魔法を使って冒険する世界での物語です。
いや、それだけ聞くとすごく胸が高鳴りますよね。昔ながらの王道ファンタジーの世界観をヘッドギアを通して直に触れることができる。なんて魅力的な世界なんだと。
ところがどっこい!
このソード&マジック・オンラインってば実はとんでもないクソゲーだったのです!
というのも、新規でVRMMOをつくろうと会社を立ち上げた関係でなんとゲームマスターを筆頭に関係者がみんな引き抜かれちゃったんですね。営業も開発メンバーも独りを残してみーんなおさらば。
問題はそれだけじゃな一人残ったアリスんみはデバッガーとしての権限が割り振られていなかったのです! つまるところバグを見つけても仕様変更する権利を持っていませんよってこと。……あれっ?
極めつけには一ヶ月後にはサービス終了しちゃいますよの三連コンボ!
物語は主人公・ササラキがこんな問題山積みクソゲーのゲームマスターとなって一ヶ月後に迫るソード&マジック・オンラインのサービス終了を回避すべく奮闘するお話。
いやあ面白かった!
というかゲームのバグがもうバグとかそういうレベルじゃなくてぶっ飛んでるところが好きです。
ほんと色々あるんです。
たびたび起こる処理落ちであったり、転移装置使ったら転移先では素っ裸になったり、モンスターの攻撃範囲が周囲300メートルだったり、もうほんと色々!
ただ一番どでかいバグは、魔法が使えないことですかね!
いやいやソード&マジックのマジックどこいった!? って感じではあるのですが、そのぶっ飛び具合が読んでいるうちに癖になるのだから恐ろしい。
けれど、ネトゲって突き詰めるとそういうことが多いと思います。
自分のミスは棚に上げて文句は垂れ流すし、ここをこうすればいいんだよと批判をするし、けれどぴーちくぱーちく言っておきながら結局やめることはしないみたいな。
空気感といいますか、バグも丸ごと愛してしまうような感覚といえばいいでしょうか。
きっとネトゲに触れたことのある人はわかるんじゃないでしょうか。だからリズナの言い分ってちょっとわかるところがあるんですよね。そういうところにリアル感なんかも匂わせてくるところは上手いなあと感じたり。
流石にここまでクソゲーなのは勘弁願いたいですけどw